[書評]できたてごはんを君に。[行成薫]近所のごはん屋さんに行きたくなる!

みーよん

誰かのために作る料理って、食べる人にとっても味わい深いものです。
こころとお腹にしみる美味しいごはんをみなさんもどうぞ!

衣食住は、誰にとっても大事です。

自分が作った料理が食べる人の力になるのであれば、このうえなく誇りに思います。

食べる側も、「頑張った自分にあの味を。」なんて思う料理が1つくらいありますよね。

みなさんにとって、心に残るごはんは何ですか?

今回紹介する本は、「誰かが誰かのために行動することの大切さ」をあらためて痛感させられる本です。

あらすじ

  • 自転車でフードデリバリーする大学生の女性が主人公
  • サービスのバイトをする主人公高根実里(たかねみのり)が主役
  • 配達先のお店の料理に触れていく

読者はその料理の背景を感じながら読み進めていきます。

目次

フードデリバリーの女性が主役

この本は、今流行りのUber Eatsならぬブルーバード・デリバリー・サービスのバイトをする主人公高根実里(たかねみのり)が主役です。

全部で4章で構成されており、「ブルーバード・オン・ザ・ラン(1)」のような章の名称となっています。

私は

  • Uberで配達をしていたことがある
  • 料理が好き
  • 表紙が気になった

そんな縁で気になってこの本を本屋さんで手に取りました。

1章 梅屋のかつ丼

1章は「カツ丼」がテーマです。

私の感想「限界のあとのご褒美」

ボクシング選手は、ハードトレーニングで減量をし、鍛え抜かれた身体で相手の選手と闘います。

カツ丼なんて、減量の敵!と思いますが、梅屋の女将梅屋笑子さんは、「苦しいときこそ笑顔を絶やさない。」という思いで、笑顔でお客さんにカツ丼を提供します。

いつも、カツ丼を注文する上下運動着姿の青年、林大和に愛情たっぷりのカツ丼でもてなします。

カツ丼と言えば、この写真のようなカツ丼をイメージする方が多いと思います。

梅屋のカツ丼は、この写真と違って

  • オムライスに似て、かつカレー皿にスプーンですくえる一口サイズのカツがのったカツ丼

です。

何より大事なことは、
いつも自分が一番ご飯を食べさせてあげたい相手を思い浮かべ、その人がうまいって喜んでくれるものを出せていれば、ちゃんとお客さんが来てくれる。
と梅屋の休業日に働かせてもらっている店主の言葉です。

1章のあらすじ

後楽園ホールでフライ級チャンピオン相手に大和は闘った。

ボクサーとして生きた証を手に入れるため、よどみないパンチを受けまくった。テレビの実況を観ていた笑子が目を伏せてしまう状況で、試合は終わった。

入院後、梅屋を訪れた大和は、震える手では、何も食べれないと落ち込むが、笑子は、スプーンをおしぼりでテーピングのように巻き、「しっかり食べなさい。」と喝を入れた。

1人の常連客のために作ったスプーンで食べられるカツ丼、その珍妙さが受けてお客さんも増えていった。

気になるその1人の常連客のその後は?

誰もが知っている料理をベースに話が進んでいく

おもしろすぎてついついあらすじをダラダラ書きたくなってしまいます。

ここはグッと抑えて、ぜひこの作品を皆さんに読んでほしいです。

2章 イノウエゴハンのカレー

2章は「カレー」がテーマです。

私は「人に優しいスパイス」と感じました。

2章のあらすじ

身重の妻にワンオペ育児をさせながら、店舗で出すカレー作りに没頭していく男性のお話。

妻との間の距離は縮まらず、カレーの味も雑になり、何もかもが上手く行かない。

男性の同級生の指摘を受けて、もう一度妻との時間を持ち夫婦関係を再構築する。

2章の男性も、1章の梅屋の笑子と同じく、「できる限りたくさんの人に幸せになってもらいたい。」「おいしいと思ってくれる人の数を増やすため、努力が必要だと考えています。

身重の人やこどもでも食べられるやさしいカレーを作る発想が生まれるのです。

3章 味好のらーめん

3章は「らーめん」がテーマです。

この章を一言でいうと「誰かのヒーロー」

3章 あらすじ

美味しいらーめん屋さん「味好(あじよし)」

先代の店主が亡くなり、味を後世の人に引き継ぐことなく惜しまれつつ、閉店。

味好の味をもう一度と、ファンだった20代OLの女性が退職して、らーめんづくりに奮闘する。

のれん分けしたタンクトップのお兄さんから言われたのは、10キロのランニングと筋力トレーニング。

らーめんに関係あるの・・・・?

先代のらーめんの味を復活させようと奮闘するけれど、結局は一生懸命作製した料理が一番と気付く。

タンクトップの兄ちゃんは「誰かのために何かをすることがヒーローってもんだろ」が口ぐせです。

何千回、何万回も昼は同じトレーニング、夜はらーめん作りの試作に励み、
「もとの亡くなった店主の味とは違うけれども、このらーめんは美味しい。」
というところまで到達。

しかし、元のらーめん店主のレシピが発見され、実は作成方法が違うことが判明。

果たして、元のままのらーめんがいいのか?それとも、一生懸命努力して作った新しいらーめんがいいのか?

「一生懸命作ったオンリーワンのらーめんは『誰かのナンバーワン』になれる。」

4章 パン工房ぱんややん

4章は「パン」がテーマです。

なぜ「ぱんややん」なのかと言えば、創業者の子供が「パン屋さん」を「ぱんややん」と言ったことが由来となっています。

米粉で世界が変わる?

4章あらすじ

パン屋の息子の男性主人公。ところがパン屋を継がず、別のパン屋を開店する。

その理由は、パンの試食品を食べようとした小さな女の子が小麦粉アレルギーで、母親がパンを地面に投げつけパンから引き離したことにショックを受けたことから。

米粉だけを使って小麦の混じらないパン屋を始めたかったのです。

自分のパンが、食べられなかったことより、地面に投げつけられたパンの存在が気になってしょうがない主人公。

親のパン屋を継ぐより自分だけの店。米粉を使ったパン屋を始めたかったのだ。

パンの力は、「人に人生をプレゼントすることだってできる。」

米粉は、グルテンフリーという概念が健康に気を使うひとたちにも受けている。

小麦粉アレルギーの女の子の母親から、2章に出てきた「イノウエゴハン」のカレーなら、アレルギー持ちの人でも食べられる情報を得て、見た目も、中味も最高のパン作りに挑戦していく。

米粉の良さが、1章のかつ丼「梅屋」や2章カレーの「イノウエゴハン」、3章らーめん「味好」にも影響を与えていく。

料理の力は「誰かのために行動することの大切さ」

この本に出てくる「誰かが誰かのために行動することの大切さ」をあらためて痛感させられました。

誰かのために一生懸命に行動することは、きっと誰かに伝わる。

行動しよう!と元気な気持ちにさせられます。

また、旅行先や近所にあるいきつけの食べ物やさんの料理を想像し、また行きたくなる思いにさせられます。

  • 誰かのために行動したい人
  • 美味しい料理に興味がある人

にぜひ読んで欲しい本です。

[追記]

私は料理の出てくる作品も好きで、自分で料理するのも好きです。

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